肩を上げると痛い…無理な体操は危険?五十肩と腱板断裂の違いと見分け方|北砂2丁目だい整形外科|江東区北砂・西大島の整形外科

〒136-0073 東京都江東区北砂2-8-5
ルナパレス1階

トピックス TOPICS

〒136-0073 東京都江東区北砂2-8-5
ルナパレス1階

肩を上げると痛い…無理な体操は危険?五十肩と腱板断裂の違いと見分け方

肩を上げると痛い…無理な体操は危険?五十肩と腱板断裂の違いと見分け方

「五十肩だから動かした方がいい」その前に確認したいこと


エプロンの紐を結ぶとき、高い場所の洗濯物を干すとき、肩に鋭い痛みが走る。五十肩だと思って体操を続けたら、かえって痛みが強まった気がする——。実は肩の痛みには五十肩以外の原因も考えられ、対処の方向が分かれます。見分け方の目安と検査の流れを、整形外科の視点で整理します。


この記事の要点まとめ


  • 肩の痛みは五十肩と腱板断裂で対応の方向が異なり、自己判断での体操には注意が必要です
  • 反対の手で支える動作や夜間痛の有無などが、状態を見分ける手がかりになります
  • 超音波検査などで腱の状態を確認し、状態に応じた対応方法を検討することが大切です

「ほぐせば和らぐ」は勘違い?肩を上げると痛いときに無理な体操へ注意が必要な理由

「ほぐせば和らぐ」は勘違い?肩を上げると痛いときに無理な体操へ注意が必要な理由

肩が上がりにくくなると、「固まっているのだから動かしてほぐそう」と考えたくなります。ただ、その方針が今の肩の状態に合っているかどうかは、原因によって変わってきます。


五十肩と腱板断裂で運動の向き不向きが分かれる理由


いわゆる四十肩・五十肩は、医学的には肩関節周囲炎と呼ばれます。関節を包む袋(関節包)に炎症が起き、その後に硬く縮む拘縮が進んで動く範囲が狭くなるタイプです。対して腱板断裂は、肩を持ち上げる働きをする腱板という板状の腱そのものに裂け目が入った状態。いわば組織の損傷にあたります。


袋が硬くなっているのか、腱が傷んでいるのか。この違いは小さくありません。前者では炎症の時期を見ながら段階的に動かしていく方針をとることもありますが、後者では傷んだ部分に負荷をかけない配慮が求められます。同じ「肩が上がらない」という訴えでも、進め方が大きく異なる場面があるわけです。


痛みをこらえて動かすことで組織の損傷が広がる恐れ


腱に裂け目がある状態で、痛みを我慢しながら腕を無理に引き上げたり、体重をかけて振り回すような自己流のストレッチを続けると、裂け目に負担がかかる方向へ力が働くことがあります。「痛くても動かした方が早い」という思い込みが、遠回りにつながる場合もあるのです。


目安として、動かした翌日に痛みや夜間の疼痛が強まっているなら、その運動が今の肩に合っていないサインと受け取ってください。知り合いの経験談やインターネットの情報も参考にはなりますが、肩の中で何が起きているかは外から見て判断できません。まず状態を確かめ、それから内容と強度を決める——この順番を大切にしています。


五十肩と腱板断裂の症状の違いとセルフチェックの目安


ご自宅での確認は、あくまで受診を判断するための材料です。それでも、いくつかの動作を比べてみると傾向をつかむ手がかりになります。


「自力で上がらない」のか「手で支えても上がらない」のかの違い


よく用いられるのは、反対側の手で痛む腕を支えて持ち上げてみる方法です。自分の力だけでは上がらないのに、反対の手で助けると比較的上まで上がる場合は、腱の力が発揮しにくい状態が疑われます。一方、支えても途中で突っ張って止まってしまうなら、関節の動く範囲そのものが狭くなっている可能性が考えられます。


とはいえ両者が併存することもあり、これだけで結論は出せません。痛みが強いときは無理に試さず、動かせる範囲でとどめてください。


腕を下ろすときの引っかかり感や夜間のうずくような痛み


腕を横から上げていく途中の決まった角度でズキッとしたり、力を抜いて下ろす際に引っかかる感覚が出ることもあります。肩の内部で腱がこすれる状況では、こうした角度依存の痛みが出やすいとされています。


夜間痛はどちらでも起こりますが、寝返りで肩が下になった瞬間に目が覚めるほどうずく、腕の重みで痛む、といった訴えは、状態を詳しく調べる一つの理由になります。


着替えやエプロンの紐結びなど日常生活の困りごとによる比較


生活動作から整理する方法も役立ちます。背中に手を回して紐を結ぶ、後ろのファスナーを上げる、洗髪で頭の後ろに手をやる、高い棚の物を取る——このうち「どの方向」が難しいのかをメモしておくと、診察時の説明がスムーズです。


全方向に動きが制限されているのか、上げる動作だけ力が入りにくいのか。ここも区別の手がかりになります。受診の際は「いつから」「どの動作で」「夜は眠れるか」の3点をお伝えいただくと、必要な検査の見当がつけやすくなります


整形外科での診断と超音波診断装置(エコー)を活用した検査の利点


「検査は大がかりなのでは」と身構える方も少なくありませんが、肩の初期評価は比較的短い時間で進むことが多いものです。


身体診察とレントゲン・超音波検査の役割分担


まず行うのは問診と身体診察。腕をどの角度まで上げられるか、どの動きで痛みが出るか、力の入り方はどうかを順に確認していきます。続いてレントゲン撮影で、骨の形や骨棘、石灰の沈着(石灰沈着性腱板炎など)の有無を調べます。ただし、レントゲンには腱や筋肉といった軟部組織は写りません。腱板の状態を知るには、別の手段が必要になります。


そこで役割を担うのが超音波検査(エコー)やMRIです。MRIは全体像を詳しく評価できる一方で、予約や撮影の時間を要する場合があります。肩峰下インピンジメント症候群のように動きの中で生じる症状の評価も含め、まずはエコーで当たりをつける流れが一般的です。


身体への負担を抑えて腱の状態をその場で確認できる超音波検査の流れ


エコーは肩にゼリーを塗り、探触子を当てて画面を見る検査です。放射線を使わず、強い痛みを伴う処置もほとんどありません。腕を動かしながらリアルタイムで観察できるため、腱の連続性が途切れていないか、腱の周囲に炎症を示す所見があるかを、その場で画面を一緒に見ながらご説明できます。


当院では治療前の検査を重要視しており、超音波診断装置などの設備を用いて症状や疾患の進行度合いを把握したうえで、患者さん一人ひとりに合わせた対応を検討しています。画面でご自身の肩をご覧いただくと、なぜこの動作で痛むのかが伝わりやすく、リハビリテーションの内容にも納得して取り組んでいただきやすくなります。必要と判断した場合は、MRIによる精査や連携先でのご相談をご案内します。


夜間痛を抑える寝姿勢の工夫と受診を検討すべき基準


痛みで眠りにくい時期は、日中の生活にも影響が出ます。受診までの間にできる工夫を知っておくと、過ごしやすくなることがあります。


クッションを使った正しい寝方と湿布の適切な使い方


夜間痛の背景には、横になったときに腕の重みで肩が引っ張られることが関係しているとされます。仰向けで寝るなら、痛む側の肘から前腕の下に薄いクッションやたたんだタオルを入れ、腕が体より少し前に来るように支えると楽に感じる方がいます。横向きの場合は痛む側を上にし、抱き枕で腕を抱えるようにすると肩が落ち込みにくくなります。


湿布は、痛みを感じる場所に合わせて貼る位置を選びましょう。腕を上げて痛むときは肩の外側から前側にかけて、背中に手を回して痛むときは後ろ側。押して響く部分が目安です。急に強くなった痛みには冷感、こわばりが気になる時期には温感を選ぶ方が多いものの、心地よく感じる方を優先して構いません。市販の鎮痛薬を使う場合は、持病や併用薬がある方は薬剤師にご相談ください。


我慢せずに整形外科で詳しい相談を行うべき目安


次のような状況では、早めに整形外科でご相談ください。


  • 痛みが2〜3週間以上続き、和らぐ気配がない
  • 夜間痛で目が覚める、眠りが浅い
  • 転倒や重い物を持った直後から力が入りにくい
  • 仕事や家事、着替えなど日常動作に支障が出ている

院長として日々診察していて感じるのは、「まだ我慢できる」と様子を見てから来院される方が多いこと。原因が整理できれば、保存療法(投薬・注射・リハビリテーション)から手術療法まで、選べる道筋をご説明できます。まずは状態を確かめることが、無理のない対応への第一歩です。江東区北砂・西大島周辺で肩の痛みが気になる方は、お気軽にご相談ください。


よくある質問


Q. 五十肩だと思って体操を続けていました。今すぐやめた方がよいでしょうか。


A. 動かした後に痛みや夜間痛が強まっているようなら、いったん中止して状態を確認することをおすすめします。原因が整理できたうえで、肩の状態に応じた動かし方をご案内します。


Q. 腱板断裂と分かったら、必ず手術になりますか。


A. 一律に決まるものではありません。断裂の大きさや部位、年齢、日常生活で必要な動作などを踏まえ、投薬・注射・リハビリテーションによる保存療法から検討する場合もあります。手術(関節鏡を用いる方法など)が選択肢になるときは、入院期間や術後のリハビリの見通しも含めてご説明します。


Q. 超音波検査は痛みや放射線の心配はありますか。


A. ゼリーを塗って機器を肩に当てる検査で、放射線は使用しません。強い痛みを伴う処置ではないため、初回の診察であわせて実施しやすい検査です。


Q. 仕事を長く休む必要が出てくるのでしょうか。


A. 状態や治療方針によって異なるため、一概には言えません。仕事内容や勤務日数を伺いながら、負担のかかる動作の調整方法も含めてご相談していきます。


Q. 肩を上げると痛い原因は、五十肩と腱板断裂だけですか。


A. ほかにも石灰沈着性腱板炎や肩峰下インピンジメント症候群、頸椎に関連する痛みなど、複数の可能性が考えられます。だからこそ、自己判断ではなく診察と検査で切り分けることが大切です。


荻野 大輔

医師


北砂2丁目だい整形外科

院長

荻野 大輔

▶ 監修者プロフィール

経歴
1999年 順天堂大学医学部卒業
1999年~ 仙台市立病院 外科
2002年~ 横浜市立大学市民総合医療センター 整形外科
2003年~ 水野病院 整形外科
2009年~ 本牧病院 整形外科
2017年~ 北砂2丁目だい整形外科 開設
資格・所属学会
日本整形外科学会専門医
江東区医師会・防災部会部員