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「痛くないから大丈夫」その油断が骨折リスクを高めます
骨粗しょう症は自覚症状のないまま静かに進み、ある日の骨折をきっかけに寝たきりへつながることもあります。本記事では、放置による骨折リスク、近くの整形外科で痛みなく受けられる検査、費用の目安、予防のヒントまで、整形外科医の視点でわかりやすく解説します。
この記事の要点まとめ
- 骨粗しょう症は無症状のまま進行し、骨折が連鎖する「ドミノ骨折」や要介護につながる場合がある
- 整形外科ではDXA法・レントゲン・血液検査の3種を組み合わせた痛みのない検査が受けられる
- 治療は薬物療法と食事・運動などの生活習慣改善を組み合わせて継続することが基本となる
目次
- 痛みがなくても要注意!骨粗しょう症の放置が招く「ドミノ骨折」と寝たきりのリスク
- 整形外科で手軽に受けられる!痛みのない3つの骨粗しょう症検査方法
- 骨密度検査の費用と診断基準:受診前に知っておきたいポイント
- 骨粗しょう症治療の見通し:骨密度が回復するまでの期間と生活習慣の改善
痛みがなくても要注意!骨粗しょう症の放置が招く「ドミノ骨折」と寝たきりのリスク

骨粗しょう症は「静かな病気」と呼ばれ、痛みや違和感を伴わず進行していきます1。ご友人の骨折話をきっかけに不安を感じる方も多いのですが、無症状こそ注意したいサインです。
なぜ痛まない?自覚症状なしに骨がスカスカになる理由
骨は日々「壊す」働きと「作る」働きを繰り返しています。加齢や女性ホルモンの低下でこのバランスが崩れると骨密度は少しずつ低下しますが、骨自体には痛みを感じる神経がほとんど通っていません。そのため、骨折して初めて異変に気づくケースも多く見られます。「今どこも痛くない」ことは、骨が健康である証明にはなりません1。
1度の骨折が次の骨折を呼ぶ「ドミノ骨折」
背骨(椎体)が一つ潰れると姿勢のバランスが崩れ、隣接する骨への負担が増えます。その結果、次々に圧迫骨折が連鎖する現象が「ドミノ骨折」です。初回の骨折後は次の骨折リスクが高まると報告されています。椎体の圧迫骨折は「いつの間にか骨折」とも呼ばれ、強い痛みを伴わず起こることもあり、身長の低下や背中の丸まりで気づく方も少なくありません。
大腿骨近位部骨折による「要介護(寝たきり)」への影響
特に注意したいのが、太ももの付け根で起こる大腿骨近位部骨折です。多くの場合は手術が必要となり、術後もリハビリに時間を要します。この骨折をきっかけに歩行能力が低下し、要介護や寝たきりの状態へ移行する方も一定数いらっしゃいます1。ご家族の負担を減らしたいとお考えなら、症状のない今こそが検査の好機です。
整形外科で手軽に受けられる!痛みのない3つの骨粗しょう症検査方法
「検査は大病院でしかできないのでは」と心配される方も多いですが、地域の整形外科でも精度の高い検査が可能です。当院では骨密度測定装置(DXA:全身性)を導入し、痛みを伴わない検査体制を整えています。
【骨密度検査】精度の高い「DXA(デキサ)法」とは?
DXA(デキサ)法は、腰椎と大腿骨に微弱なX線を当てて骨密度を測定する方法で、国内外のガイドラインでも推奨度の高い検査法とされています1。検査時間は10〜15分ほどで、寝たままの姿勢で行うため痛みはありません。骨折リスクの高い部位を直接測定できることが大きな利点で、治療経過の確認にも用いられます。
【レントゲン検査】隠れた圧迫骨折と骨の形を可視化
背骨のレントゲン撮影では、自覚症状のない「いつの間にか骨折」や椎体の変形を確認できます。DXA検査と組み合わせることで、骨密度の数値だけでは見えない実際の骨の状態を把握しやすくなります。身長が若い頃より4cm以上縮んだ方や、背中の丸まりが気になる方は、この検査で新たな発見につながることもあります。
【血液検査】骨の代謝状態を調べる「骨代謝マーカー」
血液検査では、骨の新陳代謝のスピードを示す「骨代謝マーカー」を測定します。骨がどれくらいのペースで壊され、作られているかを数値化することで、将来の骨折リスクの予測や治療薬選びの判断材料になります1。ビタミンDやカルシウムの状態も同時に確認でき、生活指導にも役立ちます。
骨密度検査の費用と診断基準:受診前に知っておきたいポイント
受診を検討するときに気になるのが、費用と診断基準ではないでしょうか。年金生活のご家庭でも安心して検査を受けていただけるよう、目安をお伝えします。
保険適用でいくら?気になる骨密度検査の費用目安
骨密度検査は健康保険の適用対象です。DXA法による検査を受けた場合、3割負担で1,500円前後、1割負担で500円前後が目安となります(診察料・レントゲン・血液検査を含めると数千円程度)。詳しい費用は受診時にご確認ください。定期的な測定で経過を追うことが、将来の骨折予防につながります。
診断の基準となる「YAM(若年成人平均値)」とは?
骨密度は「YAM(若年成人平均値)」と比較して評価されます。若い世代の平均骨密度を100%としたとき、80%未満で骨量減少、70%以下で骨粗しょう症と診断されます1。過去に脆弱性骨折の既往がある場合は、YAM値が80%以下でも骨粗しょう症と判定されることがあります。
すぐに検査を受けたい「50代以上の女性」とセルフチェック
閉経後の女性は女性ホルモンの急激な低下で骨量が減りやすく、50代以降は一度検査を受けることが推奨されます。以下に一つでも当てはまる方は、早めのご相談をおすすめします。
- 若い頃より身長が4cm以上縮んだ
- 背中や腰が丸くなってきた
- 家族に骨粗しょう症や大腿骨骨折の方がいる
- やせ型、または過度なダイエット経験がある
骨粗しょう症治療の見通し:骨密度が回復するまでの期間と生活習慣の改善
「診断されたら一生強い薬を飲むのでは」と心配される方も多いのですが、治療は生活習慣の見直しと組み合わせて進めるのが基本です。当院では患者さま一人ひとりのご希望に沿った治療方針をご提案しています。
どれくらいで骨は強くなる?治療期間と見通し
骨のリモデリング(新陳代謝)はゆっくり進むため、治療は年単位で継続することが一般的です。多くの場合、骨密度の変化を確認するために半年〜1年ごとにDXA検査を行い、治療薬の作用や副作用を確認しながら方針を見直します1。薬にはビスホスホネート製剤、SERM、注射薬などさまざまな種類があり、体調やライフスタイルに合わせて選択します。歯科治療(抜歯など)を予定される場合は、服薬状況を歯科医師に伝えることも大切です。継続することで骨折リスクの低減が期待されると報告されています。
今日から家庭でできる!骨を支える食事と運動
薬物療法と並行して、日々の生活習慣も骨の健康を支える柱となります。
- カルシウム:牛乳・小魚・大豆製品・小松菜など(1日700〜800mg目安)
- ビタミンD:鮭・きのこ類・適度な日光浴で合成
- ビタミンK:納豆・緑黄色野菜
- 運動習慣:ウォーキング、かかと落とし運動(1日30回程度)、片脚立ちなど
過度な飲酒や喫煙は骨代謝を妨げるため、この機会に見直したい生活習慣です。当院では広々としたリハビリルームで、専門スタッフによる運動指導も行っています。お孫さんの送り迎えを長く続けるためにも、症状のない今から一歩を踏み出しましょう。
よくある質問
Q1. 骨粗しょう症の検査は必要ですか?
A. 特に閉経後の女性や50代以上の方は、症状がなくても一度検査を受けることが推奨されます。骨密度の低下は自覚しにくいため、早期発見が骨折予防の第一歩です。
Q2. 骨粗しょう症の検査ではどんなことをするのですか?
A. 主にDXA法による骨密度測定、背骨のレントゲン撮影、骨代謝マーカーを調べる血液検査の3つを組み合わせて行います。いずれも痛みを伴わず、短時間で終わります。
Q3. 骨折の危険性が高い骨粗しょう症の診断基準は?
A. YAM値が70%以下、または脆弱性骨折(軽い転倒などによる骨折)の既往がある場合は、骨折リスクが高いと判断されます。詳しくは検査結果を踏まえて医師がご説明します。
Q4. FRAXスコアとは何ですか?
A. FRAX®は年齢・体重・骨折歴・家族歴などから、今後10年間の骨折確率を算出する国際的なツールです。骨密度の数値と合わせて治療方針を決める参考になります。
Q5. 治療薬は一生飲み続けないといけませんか?
A. 一律ではなく、骨密度や骨折リスクの変化を見ながら休薬や薬剤変更を検討します。定期検査で経過を追いながら、無理のない治療計画を立てていきます。
参考文献
1. 公益社団法人 日本整形外科学会. 骨粗鬆症をはじめとする骨・関節・脊椎領域の診療情報. https://www.joa.or.jp/
1999年~ 仙台市立病院 外科
2002年~ 横浜市立大学市民総合医療センター 整形外科
2003年~ 水野病院 整形外科
2009年~ 本牧病院 整形外科
2017年~ 北砂2丁目だい整形外科 開設
江東区医師会・防災部会部員
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