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骨折の痛みが和らいだときに知っておきたい通院の目安
骨折の痛みが軽くなっても、骨がしっかりつながっているとはかぎらないため、自分の判断で通院をやめることはひかえましょう。 この記事では、通院をやめたときに起こりうることや、画像の検査などから医師が治療を終える時期を決めるときの見方をまとめます。予定していた再診の日を過ぎてしまったときの相談のしかたや、固定具を外して家事・仕事にもどる手順もまとめました。
この記事の要点まとめ
- 痛みがやわらいでも骨はまだつながっていないことがあり、通うのをやめる時期は自分で決めず、折れた場所や様子に合わせて経過をみてもらう。
- 医師は画像の検査や押したときの痛み、関節の動き、ふだんの動作、持病などをふまえて、治療を終える時期を決める。
- 固定具を外す時期や家事・仕事、リハビリは少しずつ相談しながら進め、再診の日を過ぎたときも症状や事情を医療機関に伝える。
痛みが引いたら骨折の通院を途中でやめても大丈夫?
痛みが和らいだことだけを理由に通院を途中でやめるのは勧められません。炎症が落ち着いて痛みが引いても、骨のつながり(骨癒合)はまだ途中の段階にあることが多く、部位や折れ方に応じた経過観察が求められるためです。
「痛みが軽い=骨がついた」は誤解になりやすい理由
骨折した直後の強い痛みは、周囲の腫れや炎症が引くにつれて早めに落ち着いてきます。一方で、折れた骨がくっつき、物を握ったり体重をかけたりする力に耐えられる強さになるまでには、さらに時間が必要です。安静にしていれば痛まないのに、買い物袋を持ったときに手首が痛むような場合は、骨や周りの組織がまだ途中の段階にあるサインと考えられます。
また、痛み止めの薬(NSAIDsなど)で痛みがおさえられている間は、本来の状態に気づきにくくなります。骨への影響は薬の量や使う期間によって違う可能性があり、少ない量を短い間だけ使った場合は、骨のつながり方に差は見られなかったと報告されています 1。
通院を自己中断すると起こり得る4つの問題
経過の確認を行わずに治療を自己中断すると、次のような問題が起こり得ます。
- 偽関節(ぎかんせつ)・つながりの遅れ:骨がなかなかつながらない、またはつながらないまま止まってしまう状態
- 変形治癒(へんけいちゆ):骨がずれた形のまま固まり、手首や指の形や動きにひびく状態
- 関節が動かしにくい・筋力が落ちる:固定のあとに合った運動をしないままで、関節がかたくなる状態
- 痛みが長びく・また折れる:じゅうぶんな強さが戻る前に力がかかり、痛みが続いたり、もう一度折れたりするおそれ
たとえば手首の骨折であれば、フライパンを振る、重い荷物を運ぶ、ドアノブを回すといった日常の動作に支障が残る原因になりかねません。
手首・足・手術後で異なる経過観察の必要性
必要な通院期間や確認のタイミングは、骨折した部位やずれの程度、手術の有無によって異なります。転倒して手をついたときに多い手首の骨折や、関節に近い部分の骨折では、固定中に骨の位置が少しずつずれてこないかを画像で追う必要があります。体重を支える足の骨折や、金属のプレートや髄内釘(ずいないてい)を用いる手術を受けたケースでも、固定のしかたによって経過が変わり得ます 2。体重をかけはじめる時期は、画像で骨のつながりを見ながら決めていくのが一般的です。
ポイント
安静時の痛みが消えても骨が固まりきっていない時期があるため、自己判断で治療を終えないことが将来の関節の動きを守ることにつながります。
医師は何を見て骨折の治療終了を判断している?

医師は、レントゲンでみる骨のつながり方に加えて、押したときの痛みや関節の動き、ふだんの動作でのつらさをあわせて見て、治療を終える時期を決めます。画像だけ、あるいは痛みがあるかないかだけで決めるのではなく、いくつもの見方と患者さんの暮らしを重ねて確かめていくのが一般的です。
レントゲンで骨のつながり具合と位置を確かめる
診察では、レントゲン撮影によって骨折線が徐々に薄れ、新しい骨(仮骨:かこつ)が橋渡しをするようにできているかを確かめます。同時に、骨の並びがずれていないかも確認します。1回だけの撮影ではなく、前回の画像と見比べることで初めて変化が読み取れるため、予定どおりの間隔で受診することが判断の材料になります。なお、骨の周囲にある腱や靭帯、筋肉などの軟部組織の状態を把握する際には、超音波診断装置が補助的に用いられることもあります。
押したときの痛み・関節の動き・握る力や体重のかけ方を診る
画像検査とあわせて、実際に身体を動かしたときの反応も細かく診ていきます。骨折した場所を指で押したときの痛み(圧痛)が消えているか、手首であれば反らす・曲げる・ひねるといった関節の可動域がどのくらい戻っているかが確認のポイントです。さらに、物を握る力や持ち上げる動作、足の骨折であれば体重をかけて歩けるかなど、安静時ではなく「動かしたときの痛みや不安定感」を手がかりにします。買い物袋を持つと痛むといった生活場面での変化は、まさにこの確認に関わる情報です。
骨の治りを遅らせる要因も合わせて考える
骨がつながる早さには、糖尿病などの持病や喫煙の習慣など、全身の状態もかかわるとされています。痛み止めの薬(NSAIDs)は骨のつながりを遅らせる方向にはたらくと報告されていますが、量が少なく使う期間が短い場合は差が見られず、子どもでもはっきりした影響は見られていません 1。また、手首の骨折は、骨が弱くなる骨粗しょう症が背景にあって起こることもある骨折のひとつです。目の前の骨折だけでなく、骨密度測定装置などで骨の強さを確かめておくことは、次の骨折を予防して元気な生活を守る視点からも意味があります。
固定具を外す時期や家事・仕事の再開はどう決める?
固定具を外す時期や、重い物を持つ家事・仕事にもどる時期は、診察で骨の強さと関節の動きを確かめてから、少しずつ進めます。いきなり元の暮らしに戻すと痛みがぶり返すおそれがあるため、軽い動作から順に慣らしていく計画が必要です。
自己判断で固定具を外す前に確かめたいこと
ギプスやシーネ、サポーターなどの固定具を外してよいかは、直近の画像検査と医師の診察結果をもとに判断します。もし自分で一時的に外した後に、手首の腫れが増す、患部を押すと痛む、関節がぐらつくような感覚があるといった場合は、まだ固定が必要な段階と考えられます。最初から一日中すべて外すのではなく、医師の指示に沿って「まずは自宅にいる時間帯だけ外す」など、装着時間を少しずつ減らしていく進め方がとられます。
調理・買い物袋・仕事の作業を再開する順番
手首の骨折から家事や仕事へ戻るときは、手にかかる負担の大きさに合わせて段階を踏むのが基本です。
| 段階 | 動作の目安 | この段階でできる作業の例 |
|---|---|---|
| 第1段階 | 指先を使う軽い作業 | タオルをたたむ、軽い食器を拭く |
| 第2段階 | 軽い物を持つ・支える | 茶碗を持つ、軽い袋を両手で抱える |
| 第3段階 | 手首をひねる・力を込める | 包丁で硬い食材を切る、フライパンを振る |
| 第4段階 | 重い荷物の運搬・反復作業 | 飲料の入った買い物袋を片手で持つ、品出し作業 |
再開を急ぐと骨のずれや痛みの長期化につながるおそれがあります。総菜の調理や商品の品出しなど、職場で担当している具体的な作業内容を診察時に医師へ伝えると、どの段階まで進めてよいか相談しやすくなります。
骨折後のリハビリは週何回・いつまで続ける?
固定具を外した後のリハビリテーションの頻度や期間は、骨折した部位や固定していた期間、患者さんの生活事情によって一人ひとり異なります。はじめは関節のこわばりをほぐすことを中心にし、動きが戻ってきたら通う間隔を空けていくなど、主治医や理学療法士と相談して決めていきます。通院を終える目安は、単に痛みが減ることだけでなく「買い物に行く」「調理をする」といった普段の社会生活に必要な動きと筋力が戻っているかどうかです。仕事や家族の付き添いで頻繁に通えない場合は、自宅で行える運動の範囲を理学療法士から教わり、マンツーマンでの確認と組み合わせる方法もあります。
予定の再診を過ぎてしまったら、どう相談すればいい?
予定していた再診日を過ぎてしまった場合でも、気づいた時点でこれまで通っていた医療機関に連絡して受診して構いません。期間が空いたからといって遠慮する必要はなく、今の手首や足の状態を一度確かめておくと、今後の進め方を考えやすくなります。
早めの受診を検討したい手首・足の症状
通院が途切れている間に次のような症状が見られるときは、様子を見続けずに早めの再受診を検討してください。
- 買い物袋や荷物を持つと痛む状態が続いている
- 手首や足首の腫れ・熱っぽさが引かない、または再び強くなってきた
- 左右で見比べたときに、手首や指の形が以前と違って見える
- 指先のしびれや、指の曲げ伸ばしのしにくさが出てきた
- 湿布を貼っても痛みが変わらず、日常生活でかばう動作が続いている
これらは骨の癒合状況や周囲の腱・神経の状態を確認したほうがよいサインです。
連絡するときに伝えると話がスムーズな3つのこと
予約や問い合わせの連絡をする際は、次の3点を整理して伝えると診察の準備がスムーズに進みます。
1. 最後にかかった時期と、あいた期間:「5週間前にみてもらい、予定の再診から2週間ほどあいてしまった」など
2. 今の症状と固定具の使い方:「じっとしていると痛まないが袋を持つと手首が痛む」「仕事中だけサポーターをつけている」など
3. 通いにくい暮らしの事情:「仕事のシフトが変わったり家族の付き添いがあったりして、平日の昼は通いにくい」など
これまで通っていた整形外科であれば、過去のレントゲン画像や治療記録と今回の状態を直接見比べられる利点があります。もし転居や仕事の都合で別の医療機関へ変わる場合は、紹介状やこれまでの画像データの有無を事前に確認しておくと引き継ぎが円滑です。
江東区北砂で仕事や家族の付き添いと両立できる通院頻度を相談する
通院のペースは一律に決まっているわけではなく、骨の経過とご自身の生活リズムをすり合わせながら調整していけます。江東区北砂にある北砂2丁目だい整形外科(西大島駅より12分)のように、地域の患者さんが相談しやすい体制を整えている整形外科で、週に何回・どの時間帯なら通えるかを率直に伝えてみてください。骨折の経過確認やリハビリテーションは公的医療保険の適用となるのが一般的で、再診時のレントゲン撮影と診察を行う場合の自己負担額(3割負担の目安)は数千円程度となります。なお、記載した金額は一般的な相場であり当院の費用ではありません。実際の費用は医療機関や検査・処置の内容によって異なりますので、詳細は医院に確認してください。
ポイント
再診を見送ってしまった後でも、現在の症状と生活の事情をそのまま医師へ伝えることで、無理のない通院計画を立て直すことができます。
よくある質問(FAQ)
Q. 転んで手をついたあと、湿布を貼っても痛みが引かないときは何科を受診すればよいですか?
A. 骨や関節、腱の状態を画像検査で確かめる必要があるため、整形外科を受診してください。見た目の腫れが軽く、少し動かせる場合でも手首の骨にひびや骨折が生じていることがあります。湿布は表面の炎症による痛みを和らげるもので、骨の異常そのものを確かめることはできないため、痛みが続く場合は医師の診察を受けることが勧められます。
Q. 交通事故や労災で骨折した場合、通院を途中でやめるとどうなりますか?
A. 身体の回復が十分でなくなるリスクに加え、補償や手続きの面でも影響が出ることがあります。自己判断で通院期間が大きく空いたり中断したりすると、事故や労災と症状との因果関係が確認しづらくなり、治療費の取り扱いや後遺障害に関する診断書作成に支障が生じるケースがあります。通院先の変更や受診ペースについて迷うときは、事前に保険会社や職場、主治医へ相談してください。
Q. 他の病院で骨折の手術や初期治療を受けたあと、自宅近くの整形外科に転院してリハビリを続けられますか?
A. はい、手術後の経過観察やリハビリテーションを自宅や職場の近くにある整形外科で引き継ぐことは可能です。これまでの経過や手術内容、固定方法によってリハビリの進め方が変わるため 2、前にかかっていた医療機関から紹介状(診療情報提供書)やレントゲンなどの画像データを受け取って持参すると、スムーズに計画を立てられます。
参考文献
1. Wheatley BM, Nappo KE, Christensen DL et al. Effect of NSAIDs on Bone Healing Rates: A Meta-analysis. The Journal of the American Academy of Orthopaedic Surgeons. 2019. PMID: 30260913 / DOI: 10.5435/JAAOS-D-17-00727
2. Monahan KT, Zavras AG, Angelides GW et al. Extra-articular proximal tibia fracture fixation with locked plating versus intramedullary nailing: A meta-analysis. Injury. 2024. PMID: 38986196 / DOI: 10.1016/j.injury.2024.111718
1999年~ 仙台市立病院 外科
2002年~ 横浜市立大学市民総合医療センター 整形外科
2003年~ 水野病院 整形外科
2009年~ 本牧病院 整形外科
2017年~ 北砂2丁目だい整形外科 開設
江東区医師会・防災部会部員
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