介護中の腰痛が不安な50代へ―ぎっくり腰の再発を防ぐ体幹ケア|北砂2丁目だい整形外科|江東区北砂・西大島の整形外科

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介護中の腰痛が不安な50代へ―ぎっくり腰の再発を防ぐ体幹ケア

介護中の腰痛が不安な50代へ―ぎっくり腰の再発を防ぐ体幹ケア

1年で3回――繰り返す急性腰痛の背景を整理します


ベッドから車いすへ移す一瞬、洗濯かごを持ち上げる瞬間に身体が固くなる。骨に大きな異常はないと言われたのに再発する背景には、体幹を支える筋の働きや動作の癖が関わっています。この記事では、ぎっくり腰が繰り返される仕組みと、介護や家事の合間でも続けやすい体幹ケアと姿勢の工夫を整理します。


この記事の要点まとめ


  • 骨に画像上の異常がなくても、体幹の筋の働き低下や動作の癖で再発することがあります。
  • 介助や家事では中腰やひねりを避け、足の踏み替えや補助具の活用が負担軽減につながります。
  • ドローイン等の体幹ケアを取り入れつつ、しびれ等の症状が続く場合は相談が勧められます。

ぎっくり腰を繰り返す原因―骨に異常がなくても再発する仕組み


画像検査で骨に問題がないのに痛みを繰り返すのはなぜか


レントゲンや超音波検査で骨や関節に大きな異常が見つからない急性腰痛は、原因を特定しにくい「非特異的腰痛」として扱われることがあります。画像に写るのは主に形の情報で、筋肉の使い方、背骨のS字カーブの崩れ、股関節や太もも裏の柔軟性といった機能面は映りません。つまり「骨は大丈夫」という結果は、負担のかかり方まで問題がないという意味ではありません。 慢性・再発性の腰痛では、運動療法が管理の選択肢として検討されています1。


腹横筋などインナーマッスルの働きが弱ると起こること


腹横筋や多裂筋といったインナーマッスルは、腕や脚を動かす直前に胴体を固めて腰椎を安定させる働きを担います。この先回りの反応が遅れると、前かがみやひねりの負担が腰まわりの組織に集中しやすくなります。痛みが出るたびに安静期間が続くと筋の働きがさらに落ち、次の発症の下地になるという循環も起こりがちです。体幹の安定性に着目した運動は、一般的な運動と比較した検討が重ねられています3。


繰り返す腰痛の裏に別の疾患が隠れている場合の見分け方


腰だけでなくお尻から脚へ広がる痛みやしびれ、歩くうちに脚が重くなり前かがみで休むと再び歩ける、といった変化があるときは、腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、腰椎すべり症なども想定されます。50代以降の女性では骨密度の低下に伴う圧迫骨折が背景にある場合も。排尿しにくい、両脚に力が入りにくいといった症状を伴うときは、早めに整形外科へ相談することをおすすめします。


介護・家事の動作でぎっくり腰を招きやすい場面と防ぎ方

介護・家事の動作でぎっくり腰を招きやすい場面と防ぎ方

利用者やご家族の移乗介助で腰を守る姿勢の基本


腰への負担が集まりやすいのは「前かがみ+ひねり」の組み合わせです。移乗介助では、足を前後に開いて相手へ正面から近づき、膝と股関節を曲げて重心を落とします。向きを変えるときは上半身をねじらず、足を踏み替えて身体ごと回るのが基本。スライディングシートや介助用ベルトなどの用具については、介助者の身体的負担を減らす目的で研究が行われており、職場に備えがあるなら遠慮なく使う判断が現実的です3。


中腰での家事動作を減らす工夫と道具の使い方


中腰は、腰にとって立位より負担が増えやすい姿勢です。洗濯かごは床に置かず台や洗濯機の上へ、床拭きは柄の長い道具に替える、低い場所の作業は片膝を床につく——この三つだけでも中腰の時間はかなり削れます。起床直後は椎間板の水分量が多く負担がかかりやすい時間帯とされるため、朝いちばんの重い物の持ち上げは避けたいところ。 ゴミ出しや布団の上げ下ろしは、身体が動き出してからに回しましょう。


「ピキッ」と前兆を感じた瞬間にとるべき初期対応


嫌な予感が走った瞬間は、まず動作をそこで止めます。反射的にひねりを戻すと負担が増えるため、近くの手すりや壁、ベッド柵に手をついて体重を預け、息を止めずにゆっくり中間の姿勢へ。介助中なら相手の安全を確保してから声をかけて交代を依頼します。その後は完全な安静よりも、痛みの出ない範囲で動く方針が一般に推奨されます。コルセットは活動時のみの一時的な使用にとどめ、常用が続くようなら相談を。


介護や家事の合間でも続けられる体幹トレーニング

介護や家事の合間でも続けられる体幹トレーニング

腹横筋を意識するドローインのやり方と回数目安


仰向けで膝を立て、鼻から息を吸い、口から細く吐きながらおへそを背中側へ引き込みます。腰を反らせたり、お腹を力任せに固めたりせず、下腹部が薄くなる感覚を探すのがコツ。目安は10秒キープを5〜10回、1日1〜2セットから。 慣れてきたら椅子に座った姿勢や立位でも同じ感覚を再現できるようになり、歯磨きや電車待ちの時間にも組み込めます。体幹に着目した運動は、慢性腰痛を対象に一般的な運動との比較が検討されてきました3。


バードドッグ・バックブリッジで体幹を安定させる方法


バードドッグは四つ這いから片手と反対側の脚を床と平行に伸ばす動きです。骨盤が左右に傾かないよう、頭からかかとまで一本の線を意識して5秒ほど保ち、左右各5〜10回。バックブリッジは仰向けで膝を立て、お尻を持ち上げて5秒キープを10回程度。どちらも腰を反らせすぎず、呼吸を止めないことが条件です。運動療法は種類ごとに検討が進められており、続けられる種目を選ぶ視点も大切になります1。


トレーニングを控えるべきタイミングと再開の目安


痛みが強い急性期は運動より痛みの落ち着きが優先で、寝返りや起き上がりが楽になってきた回復期に、ドローインから段階的に戻します。負荷を上げるのが早すぎるサインは、翌朝のこわばりが前日より強い、同じ動作で痛みが再燃する、回数の後半でフォームが崩れる——この三つ。当てはまれば量を半分に戻して様子を見てください。


江東区で無理なく続ける再発防止のための受診とセルフケア


骨密度測定・超音波検査で分かることと定期的な確認の意味


繰り返す腰痛では、その場の痛みだけでなく土台の状態を把握しておくと方針が立てやすくなります。骨密度測定装置(DXA法)は骨の強さの推定に、超音波診断装置は筋や腱など軟部組織の様子をその場で確かめる手段として用いられます。治療前に検査を行い、状態を把握したうえで再発予防につなげる考え方が一般的に重視されています。 なお骨密度検査は保険診療の場合おおむね数百円〜3,000円程度が一般的な目安として挙げられますが、これは一般的な相場であり当院の費用ではありません。実際の費用は医療機関や検査内容によって異なります。


江東区内で仕事や介護と両立しながら通える頻度の目安


訪問介護の勤務とご家族の介助が重なると、通院そのものが負担になりがちです。最初は運動の確認を含めて週1回程度、動作のコツがつかめてきたら2週〜1か月に1回といった間隔に落としていく進め方が現実的でしょう。江東区で探すなら、自宅や勤務先からの移動時間が短く、受付時間が生活動線に合う医療機関を選ぶと途切れにくくなります。


セルフケアで様子を見てよい場合と受診を検討する場合の判断基準


数日で痛みが薄れ、日常動作が戻ってきているなら、姿勢の工夫と軽い運動で経過を見る選択もあります。一方で、2週間たっても変化が乏しい、脚のしびれや力の入りにくさがある、安静にしていても夜間に痛む、発熱や体重の減少を伴う——こうした場合は相談の目安。次に痛みが出たら、日付・その時の動作・続いた日数をメモしておくと、診察でのやり取りがぐっと具体的になります。


よくある質問


Q1. ぎっくり腰を1か月に2回繰り返すことはありますか。

A. 短い間隔で再発する方もいます。前回の痛みが完全に落ち着く前に活動量を戻したり、負担のかかる動作が毎日続いていたりすると、同じ場面で症状が出やすくなります。頻度が高いときは、筋の働きや姿勢に加えて別の疾患の可能性も含めて一度確認しておくと安心です。


Q2. ぎっくり腰が慢性化してきたときはどうすればよいですか。

A. 痛みが3か月以上続く場合は、安静中心の対応から運動療法や動作指導を組み合わせた方針へ切り替えて検討されることが一般的です。自己判断で強い運動に踏み込む前に、いま何をどこまで行ってよいかを診察で確認してから進めてください。


Q3. ぎっくり腰になりにくい人にはどんな特徴がありますか。

A. 体幹を支える筋が働きやすい、股関節や太もも裏の柔軟性が保たれている、重い物を持つときの姿勢が身についている、といった条件が重なっている方は負担が分散されやすいとされます。ただし条件がそろっていても発症しないとは言い切れません。


Q4. 痛みが引いてきたらウォーキングをしてもよいですか。

A. 歩行は負荷を調整しやすい運動のひとつで、回復期に取り入れられることがあります。まずは平坦な道を10分程度から始め、翌日に痛みが増していないかを確認しながら時間を延ばすのが無理のない進め方です。


Q5. コルセットはずっと着けていた方がよいのでしょうか。

A. 痛みの強い時期に活動する場面で一時的に使う道具と考えるのが基本です。長期間の常用については筋の働きへの影響が指摘されることもあるため、外していく時期の目安を診察で相談しておくとよいでしょう。


参考文献


1. Li Y, Yan L, Hou L et al. Exercise intervention for patients with chronic low back pain: a systematic review and network meta-analysis. Frontiers in Public Health. 2023. PMID: 38035307 / DOI: 10.3389/fpubh.2023.1155225

2. Hegewald J, Berge W, Heinrich P et al. Do Technical Aids for Patient Handling Prevent Musculoskeletal Complaints in Health Care Workers?—A Systematic Review of Intervention Studies. International Journal of Environmental Research and Public Health. 2018. PMID: 29522440 / DOI: 10.3390/ijerph15030476

3. Coulombe BJ, Games KE, Neil ER et al. Core Stability Exercise Versus General Exercise for Chronic Low Back Pain. Journal of Athletic Training. 2017. PMID: 27849389 / DOI: 10.4085/1062-6050-51.11.16


荻野 大輔

医師


北砂2丁目だい整形外科

院長

荻野 大輔

▶ 監修者プロフィール

経歴
1999年 順天堂大学医学部卒業
1999年~ 仙台市立病院 外科
2002年~ 横浜市立大学市民総合医療センター 整形外科
2003年~ 水野病院 整形外科
2009年~ 本牧病院 整形外科
2017年~ 北砂2丁目だい整形外科 開設
資格・所属学会
日本整形外科学会専門医
江東区医師会・防災部会部員