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■その肩の痛み、本当に五十肩ですか?
腕を上げると肩がズキッと痛む——「たぶん五十肩だろう」と決めつけて、そのままにしていませんか?
実は似たような症状でも、原因がまったく異なる「腱板損傷」が隠れていることがあります。この記事では、腱板損傷の原因や症状、五十肩との見分け方を整理してお伝えします。
この記事の要点まとめ
- 肩の痛みには五十肩と似た症状の「腱板損傷」が隠れている場合がある
- 腱板損傷は力が入りにくい・自力で腕が上がりにくいなど、五十肩と異なる特徴がみられる
- 痛みが数週間以上続く場合は、早めに整形外科へ相談することが望ましい
■肩腱板損傷とは?原因とメカニズム

◎腱板の役割と損傷が起こる仕組み
肩の「腱板(けんばん)」は、肩関節を取り囲む4つの筋腱——棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋——の総称です。これらが上腕骨の頭を包み込むように支えることで、肩は広い可動域を保っています。
ところが、腱板が骨と骨の間で繰り返し擦れたり、強い力で引っ張られたりすると、腱に傷が入ったり断裂を起こしたりすることがあります。こうした状態を腱板損傷と呼びます。
◎腱板損傷の主な原因──加齢・使いすぎ・外傷
原因は大きく3つに分けられます。
- 加齢による変性: 腱板は年齢とともに弾力を失い、もろくなりやすくなります。50代以降は日常動作の範囲でも損傷につながることがあります
- 使いすぎ(オーバーユース): 野球やテニスなど腕を振る動作の繰り返し、荷物を頻繁に持ち上げる仕事などで腱板に負荷が蓄積する場合があります
- 外傷: 転倒して手をついた衝撃や、肩を強くぶつけた際に一度の外力で断裂するケースも見られます
「年齢のせい」だけではなく、生活習慣やスポーツ歴、ケガの既往なども関わる疾患です。
■腱板損傷の症状──五十肩と間違えやすいサイン
◎腱板損傷に多い痛みの出方と動作制限
腱板損傷の代表的な症状には、次のようなものがあります。
- 腕を横や前に上げる途中で鋭い痛みが走る
- 夜間、寝返りで肩が痛んで目が覚める
- 腕に力が入りにくく、物を持ち上げにくい
- 肩を動かすときに「ゴリッ」「ジャリッ」と引っかかるような感覚がある
五十肩でも夜間痛が出ることはありますが、腱板損傷では「力が入らない」「持ち上げられない」という筋力低下を伴いやすい点が特徴的です。
◎「自力では上がらないが他人に持ち上げてもらえば上がる」は要注意
腱板損傷と五十肩を見分ける手がかりの一つが、他動的な可動域の違いです。
腱板が断裂していると、自分の力では腕を上げられなくても、他の人に持ち上げてもらうとスムーズに動くケースが少なくありません。
一方、五十肩は関節包の炎症や拘縮が主な原因のため、自力でも他人に動かされても硬くて上がりにくい傾向があります。こうした違いに心当たりがある場合は、自己判断せず整形外科で相談されることをおすすめします。
■腱板損傷と五十肩(四十肩)の違い──見分けるポイント
◎原因・症状・可動域で比較する3つの違い
腱板損傷と五十肩は痛む場所が同じ「肩」なので混同されがちですが、原因も経過も異なります。次の表で整理してみましょう。
| 比較項目 | 腱板損傷 | 五十肩(四十肩) |
|---|---|---|
| 原因 | 腱板の断裂・損傷 | 関節包の炎症・拘縮 |
| 自力での挙上 | 力が入らず上がりにくい | 痛みと硬さで上がりにくい |
| 他人が動かした場合 | 比較的スムーズに動く | 硬さが残り動きにくい |
五十肩は時間の経過とともに可動域が戻っていく場合がある一方、腱板損傷は自然経過だけでは腱の断裂部分が修復されにくく、症状が長引きやすい傾向があるとされています。
◎「五十肩だと思って放置」にはご注意を
腱板損傷を五十肩と思い込んだまま様子を見続けると、断裂の範囲が少しずつ広がり、対応の選択肢が狭まるおそれがあります。
肩の痛みが数週間以上続いている方や、腕に力が入りにくいと感じている方は、早めに整形外科を受診されることが大切です。
当院では超音波診断装置を用いた肩の画像評価を行っており、患者様お一人おひとりの症状を丁寧に確認したうえで対応しております。
「肩の痛みくらいで受診していいのかな」と迷われる方もいらっしゃいますが、痛みの原因を正しく把握することが、適切な対処への第一歩です。
なお、四十肩と五十肩の違いについては「四十肩・五十肩の違いとは?原因や症状について詳しく解説」で詳しくまとめていますので、あわせてご覧ください。
「病院へ行くべきか迷っている」という方は「四十肩や五十肩で病院は行く?自然に治る?なる人・ならない人の違いとは」も参考になさってください。
■よくある質問
Q. 腱板損傷はレントゲンで分かりますか?
A. レントゲンでは骨の状態を確認できますが、腱板そのものの損傷は写りにくいことがあります。超音波検査やMRI検査を併用することで、より正確に評価できる場合があります。
Q. 腱板損傷は放置しても自然に治りますか?
A. 部分的な損傷であれば、安静やリハビリテーションで症状が落ち着くケースもありますが、断裂が広がる可能性も否定できないため、整形外科での診察を受けることをおすすめします。
Q. 五十肩と腱板損傷が同時に起こることはありますか?
A. 両方が併存するケースもあります。自己判断は難しいため、肩の痛みが続く場合は医師に相談されることが望ましいです。
Q. 肩の痛みがあるとき、どの診療科を受診すればよいですか?
A. 肩の痛みや動かしにくさがある場合は、整形外科の受診をご検討ください。
1999年~ 仙台市立病院 外科
2002年~ 横浜市立大学市民総合医療センター 整形外科
2003年~ 水野病院 整形外科
2009年~ 本牧病院 整形外科
2017年~ 北砂2丁目だい整形外科 開設
江東区医師会・防災部会部員
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