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「歩くと脚が痛む」その症状、原因はどこにある?
5分ほど歩くと太ももからふくらはぎが重だるくなり、少し前かがみで休むとまた歩ける——そんな経験はありませんか。原因は背骨や神経のこともあれば、血管の状態が関わっている場合もあります。この記事では脊柱管狭窄症と血流障害の見分け方や受診の目安を、江東区北砂の視点から整理してお伝えします。
この記事の要点まとめ
- 歩くと脚が痛む「間欠性跛行」には神経性と血管性があり、休み方に違いが見られる傾向があります
- 前かがみで楽になるか姿勢に関係なく和らぐかが、原因を見分ける参考になります
- 短距離での休憩が続く場合や筋力低下がみられる際は、整形外科での相談が検討されます
歩くと脚が痛むのはなぜ?60代に多い「間欠性跛行」の基礎知識

歩き続けると脚に痛みやしびれが出て、休むとまた歩ける。この繰り返す症状は「間欠性跛行(かんけつせいはこう)」と呼ばれ、60代の方に比較的みられます。まずは、その仕組みから整理してみましょう。
少し休むと再び歩けるようになる特徴的な症状の仕組み
間欠性跛行では、歩くうちに太ももからふくらはぎにかけて重だるさや痛みが強まり、いったん立ち止まったり前かがみで休んだりすると、数分ほどで症状がやわらいでいくことがあります。「歩く→痛む→休む→また歩ける」という波があるのが大きな特徴です。買い物の途中で何度もベンチを探してしまう、といった形で気づく方も少なくありません。
なぜ歩行時にだけ脚の痛みやしびれが現れるのか
座っている安静時には症状が出にくいのに、歩き出すと現れるのはなぜでしょう。歩行時は神経や筋肉が多くの酸素や血流を必要とし、その負荷が高まります。神経の通り道が狭くなっていたり、脚への血流が不足していたりすると、活動量が増える歩行時にこそ症状が表に出やすくなると考えられています。
60代の骨や関節の変化が引き起こす神経への影響
加齢とともに、背骨の変形や椎間板の変化、靭帯の肥厚などが少しずつ進むことがあります。こうした変化で、背骨の中を通る神経の通り道(脊柱管)が狭くなると、神経が圧迫されやすくなると考えられています[公的]。60代で歩行時の脚の症状が出やすい背景には、年齢による身体の変化が関係している場合があります。
【セルフチェック】脊柱管狭窄症と血流障害(閉塞性動脈硬化症)の違い
歩くと脚が痛む原因は、大きく「神経性」と「血管性」の二つに分けられます。どちらも似た症状に見えますが、痛みがやわらぐときの特徴に違いがあるとされています。
前かがみや座る姿勢で楽になる「神経性(脊柱管狭窄症)」の特徴
腰部脊柱管狭窄症では、背中を反らすと神経の通り道がさらに狭くなり、逆に前かがみになると通り道が広がって症状がやわらぐ傾向があるとされます[公的]。自転車をこぐ姿勢やカートを押す姿勢だと楽に動ける、という方もみられます。姿勢によって痛みの出方が変わることが、神経性を疑う一つの手がかりになります。
姿勢に関係なく立ち止まるだけで和らぐ「血管性(血流障害)」の特徴
一方、閉塞性動脈硬化症など血管の詰まりによる血流不足が原因の場合は、姿勢に関係なく「立ち止まって脚を休ませる」だけで痛みがやわらぐことが多いとされます。脚の組織へ十分な血液が届かず、酸素不足による代謝の変化が痛みにつながると考えられています[論文]。冷えや脚の色調の変化、足の脈の触れにくさを伴うこともあります。
自宅でできる簡単な見分け方とチェックリスト
完全な判断はできませんが、目安として次の点を確認してみてください。
- 前かがみになると楽になる→神経性の傾向
- 姿勢に関係なく立ち止まれば楽になる→血管性の傾向
- 自転車こぎは平気だが平地歩行はつらい→神経性の傾向
- 上り坂で特につらく、脚が冷たく感じる→血管性の傾向
これらはあくまで受診前の参考です。両方が重なる場合もあるため、実際の判断は検査を含めて医療機関でご確認ください。
放置するとどうなる?受診を検討すべき具体的な基準と重症度の目安

「まだ大ごとにしたくない」という気持ちと「歩けなくなったら不安だ」という思いのあいだで迷う方は多いものです。判断の目安を、具体的に整理しておきましょう。
連続で歩ける距離や時間からみる受診のタイミング
一つの目安として、5分程度(およそ200〜300メートル)の歩行で休まなければならない状態が続く場合は、一度整形外科で相談することをおすすめします。パート勤務や商店街での買い物など、日常の移動に支障が出始めているなら、原因を確認しておく意義があります。
筋力低下や排尿障害など、急を要する重症のサイン
足首やつま先が上がりにくくなる、段差でつまずきやすくなる、といった筋力の変化がみられる場合は注意が必要です。また、排尿や排便のコントロールがしにくくなるといった変化は、神経への影響が強く出ているサインの可能性があり、早めの受診をご検討ください[学会]。
60代の仕事・趣味・暮らしを維持するための早期アプローチの重要性
パート勤務や孫の世話、旅行や趣味など、60代の暮らしには活動の機会がたくさんあります。症状の原因を早めに把握し、生活に合わせた対処を始めることは、こうした活動を無理なく続けるうえで役立ちます。院長の荻野も、疼痛の管理と再発の予防を大切にしています。早めに原因を確認しておくことが、日々の暮らしを守る一歩になります。
北砂2丁目だい整形外科での検査と、脚の負担を和らげる日常生活のコツ
原因を見極めるには、症状の聞き取りに加えて検査による確認が役立ちます。あわせて、日常でできる工夫もご紹介します。
ABI測定器による血流検査と骨密度測定で痛みの原因を特定
当院では、治療前の検査を重視しており、ABI測定器による脚の血流の評価や、骨密度測定装置(DEXA)、超音波診断装置などを用いて症状の背景を確認していきます。神経性か血管性かを見分けるうえで、血流の状態を客観的に把握できる検査は、有力な手がかりの一つです。患者さん一人ひとりに合わせた丁寧な診断を心がけています。
脚への負担を減らす靴(インソール)や歩行補助具の選び方
歩行時の衝撃をやわらげるには、クッション性があり足に合った靴を選ぶことが大切です。中敷き(インソール)で足裏を支えると、脚への負担が軽くなる場合があります。また、少し前かがみの姿勢を保ちやすいシルバーカーは、神経性の症状がある方が休みながら歩く助けになることもあります。
日常生活における姿勢の工夫と無理のない運動習慣
腰を強く反らせる動作は控えめにし、お腹に軽く力を入れて背中を丸めすぎない姿勢を意識してみましょう。腰に負担をかけにくいストレッチや、サドルにもたれる姿勢でできる自転車こぎなどの軽い運動は、無理のない範囲で続けやすい方法です。当院では広々としたリハビリルームで、状態に合わせた運動をご案内しています。ご自身の判断で無理をせず、痛みが強いときはご相談ください。
よくある質問
Q. 脊柱管狭窄症は歩くとなぜ痛いのですか?
A. 歩くと神経や筋肉がより多くの血流を必要としますが、神経の通り道が狭くなっていると、その負荷に対応しきれず痛みやしびれが出やすくなると考えられています。前かがみで休むと通り道が広がり、症状がやわらぐことが多いのが特徴です。
Q. 脊柱管狭窄症で足が痛くなるのはなぜですか?
A. 背骨の中を通る神経が圧迫されることで、その神経がつながる太ももやふくらはぎに痛み・しびれとして症状が現れると考えられています。片脚だけの場合も、両脚に及ぶ場合もあります。
Q. 高齢者の脊柱管狭窄症への向き合い方は?
A. 薬による対応やリハビリテーションなどの保存的なアプローチから検討されることが一般的です。症状の程度や生活への影響によって選択肢は異なるため、検査を含めて医療機関で相談することをおすすめします。
Q. 脊柱管狭窄症で歩けなくなってきたらどうしたらよいですか?
A. 連続して歩ける距離が短くなってきた、筋力の低下やつまずきが増えたと感じる場合は、早めに整形外科で相談してください。原因を確認したうえで、生活に合わせた対処を検討していくことが大切です。
Q. 原因が神経か血管か自分では分かりません。何科に行けばよいですか?
A. まずは整形外科で相談いただければ、神経性か血管性かを見分けるための検査(血流の評価など)を行い、必要に応じて他の診療科と連携して確認していきます。
参考文献
1. Butler J, Jayson GG, Swallow AJ. The reaction between the superoxide anion radical and cytochrome c. Biochimica et biophysica acta. 1975. PMID: 60. DOI: 10.1016/0005-2728(75)90124-3
1999年~ 仙台市立病院 外科
2002年~ 横浜市立大学市民総合医療センター 整形外科
2003年~ 水野病院 整形外科
2009年~ 本牧病院 整形外科
2017年~ 北砂2丁目だい整形外科 開設
江東区医師会・防災部会部員
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