ロコモ(ロコモティブシンドローム)は、筋力低下などによって生じる「移動能力の低下」のことを指します。
ロコモが進行すると、杖を突かなければ歩けなくなったり、階段昇降が大変になったりなど、さまざまな場面の移動に苦労してしまうかもしれません。
いつまでも自分の足で行動し続けられるよう、ロコモのリスクをチェックすることはとても大切です。
また、どのような予防や治療の方法があるのかを理解しておき、健康を維持できるよう気をつけましょう。
この記事では、ロコモのチェック項目や診断と、治療や予防の方法について解説していきます。
目次
■ロコモティブシンドロームの診断基準とチェック方法とは?
ロコモを提唱した「日本整形外科学会」は、ロコモを診断するためのチェック方法や診断テストを提示しています。
- ロコチェック
- ロコモ25
- ロコモ度判定テスト
ここでは、自分がロコモかどうかを判断するチェック項目や、実際に体を動かすテスト方法をみていきましょう。
◎簡単にロコモか調べられる|「ロコチェック」
ロコチェックは、7つの項目に1つでも当てはまれば「ロコモの可能性がある」とされている簡単なチェック方法です。
- 片脚立ちで靴下が履けない
- 家の中でつまずいたりすべったりする
- 階段を上がるのに手すりが必要である
- 家のやや重い仕事が困難である
- 2㎏程度の買い物をして持ち帰るのが困難である
- 15分程度続けて歩くことができない
- 横断歩道を青信号で渡り切れない
※ロコチェック | ロコモONLINE | 日本整形外科学会公式
これらの項目は、骨や関節、筋肉などの機能が衰えていると当てはまります。
1つでも当てはまった方は、関節や骨の問題がないか確認し、筋力が低下している場合には運動やトレーニングをはじめましょう。
◎より詳しいロコモのチェック方法|「ロコモ25」
ロコモ25は、25個の質問項目に対し、5段階で回答していくチェック方法です。
身体状況だけでなく、外出や交友関係に対する意欲なども質問項目に含まれており、ロコチェックよりもさらに詳しくチェック可能です。
25個の質問項目は以下になります。
【体の痛み】
- 首・肩・腕・手のどこかに痛みが(しびれを含む)ありますか
- 背中・腰・お尻のどこかに痛み(しびれを含む)がありますか
- 下肢に痛み(しびれを含む)がありますか
- ふだんの生活で体を動かすのはどの程度つらいですか
【普段の生活】
- ベッドや寝床から起きたり、横になったりするのはどの程度困難ですか
- 腰かけから立ち上がるのはどの程度困難ですか
- 家の中を歩くのはどの程度困難ですか
- シャツを着たり脱いだりするのはどの程度困難ですか
- ズボンやパンツを着たり脱いだりするのはどの程度困難ですか
- トイレで用足しをするのはどの程度困難ですか
- お風呂で体を洗うのはどの程度困難ですか
- 階段の昇り降りはどの程度困難ですか
- 急ぎ足で歩くのはどの程度困難ですか
- 外に出かける時、身だしなみを整えるのはどの程度困難ですか
- 休まずにどれくらい歩き続けることができますか
- 隣・近所に外出するのはどの程度困難ですか
- 2㎏程度の買い物をして持ち帰るのはどの程度困難ですか
- 電車やバスを利用して外出するのはどの程度困難ですか
- 家の軽い仕事は、どの程度困難ですか
- 家のやや重い仕事は、どの程度困難ですか
- スポーツや踊りは、どの程度困難ですか
- 親しい人や友人とのお付き合いを控えていますか
- 地域での活動やイベント、行事への参加を控えていますか
- 家の中で転ぶのではないかと不安ですか
- 先行き歩けなくなるのではないかと不安ですか
これらを5段階の回答で点数付けしていき、重症度の区分であるロコモ度1~3のいずれに当てはまるかをチェックします。
詳しい回答項目や判定基準は、ロコモ25のページからご覧ください。
◎実際に体を動かしてチェック|「ロコモ度判定テスト」
ロコモ度を判定するには、実際に体を動かすテストも有効です。
- 立ち上がりテスト
- 2 ステップテスト
立ち上がりテストは、40㎝程度の椅子に浅く腰掛け、手を突かないで椅子からたちが上がります。最初は両脚で行い、実施できたら片脚でチャレンジしましょう。
また、台の高さを10㎝ずつ低くしていき、片脚で立ち上がれるかチェックします。
2ステップテストは、スタートラインからできる限り大股で2歩歩き、どの程度の距離を移動できるかチェックします。
テスト結果から「2歩幅(㎝)÷身長(㎝)=2ステップ値」を算出し、2ステップ値が0.9以下ならロコモ度3、1.1以上1.3未満ならロコモ度1といったように判定可能です。
上記の2テストとロコモ25のチェック結果によって、ロコモの重症度を判断できます。
※立ち上がりテスト | ロコモONLINE | 日本整形外科学会公式
※2ステップテスト | ロコモONLINE | 日本整形外科学会公式
■ロコモの治療と予防はどうする?
ロコモを治療するには、原因となっている病気やケガの治療や、バランス感覚・筋力のトレーニングが必要です。
痛みやしびれの改善、骨や関節障害の治療、筋力や持久力の改善により、運動する能力を向上させましょう。
また、日頃から栄養バランスに気を付けたり、散歩や運動を習慣づけたりなどして、ロコモを予防することも大切です。
一度落ちた機能を戻すのには大変な労力を必要とするため、できる限りロコモ予防に勤めましょう。
■ロコモをチェックして、早めの予防と治療を心掛けましょう
ロコモかどうかは簡単にチェックすることが可能です。
自分がロコモに当てはまるかを早めにチェックして、進行予防や治療に役立てましょう。
「だい整形外科」では、ロコモについての相談や検査の補助、改善のためのサポートなどを実施しています。
骨や関節、筋肉は知らず知らずのうちに衰えているものです。
最近、歩くのがつらいと感じている方や、ロコモの心配がある方は、ぜひお気軽に当院へご相談ください。