腰椎分離症は、腰の部分の背骨である「腰椎」のケガの一種です。
スポーツをする方や、部活動など成長期に強い運動を行う方は、腰椎分離症になる可能性があります。
背骨のケガは後遺症が残る場合もあるため、症状や原因、治療法などをきちんと理解しておきましょう。
この記事では、腰椎分離症の原因や症状、治療法などを解説いたします。
スポーツをたくさんしており、腰の痛みを自覚している方は、ぜひ参考にしてください。
■腰椎分離症とは
腰椎分離症は、背骨のうち腰の骨にあたる「腰椎」に疲労骨折が生じた状態です。
強度の強いスポーツを続ける方に起こりやすく、状態によってはスポーツを継続できなくなる方もいます。
また、腰椎分離症が起こると、背骨の位置がずれる「すべり症」を合併する場合もあります。
すべり症を合併してしまうと、しびれや歩行障害が発生する場合もあるため、なるべく早期に発見・治療を行なうことが大切です。
■腰椎分離症の症状
腰椎分離症の症状を解説します。
早期発見と重症化予防のため、初期症状や合併症について良く理解しておきましょう。
◎初期症状
腰椎分離症の主な初期症状としては、腰の動きに合わせて生じる腰痛です。
腰を反らしたり捻ったりした際に、分離症の生じている腰椎の高さへ腰痛を自覚できます。
特に成長期の子供においては慢性的な腰痛が出現するケースが稀であるため、1~2週間以上腰痛が出現している場合は、腰椎分離症が生じている可能性があります。
◎合併症
腰椎分離症の重大な合併症が「腰椎すべり症」です。
腰椎すべり症が起こった場合、疲労骨折が生じた腰椎が、正常な背骨の流れから外れてしまいます。
腰椎すべり症が生じた場合、以下のような症状が見られる場合があります。
・足がしびれる
・休みながらでないと歩けない
・足の痛み
これらの症状は、腰椎がずれ、背骨の中を通る「脊髄」に影響してしまうことで生じます。
重度になると歩くこともままならなくなるため、足のしびれや痛みが出た場合はすぐに受診しましょう。
■腰椎分離症の原因
腰椎分離症の原因は、ジャンプを繰り返したり、腰を強く捻ったりすることです。
1度の動きで起こるのは稀であり、繰り返し同じ動作を行うことで骨に疲労がたまり、骨折が生じます。
腰椎分離症は、多くの場合、体の柔らかい中学生の頃に生じます。
また、一般人と比べてスポーツ選手に多く、スポーツに伴う腰の動きの反復が大きな原因となっているのです。
■腰椎分離症の治し方
腰椎分離症の治し方を解説します。
治療方法は、主に「保存療法」と「手術」の2種類です。
それぞれの治療方法の内容と、どういった基準で治療方法を選択するのか見ていきましょう。
◎保存療法
腰椎分離症の保存療法には以下のようなものがあります。
・リハビリテーション
・薬物療法
・装具療法
腰椎分離症の治療には、腹筋や背筋の強化が有効になります。腹筋・背筋を強化し、背骨の支えがしっかりすれば、骨折した場所の痛みを軽減可能です。また、足腰の筋肉の柔軟性を高めることで、腰の筋肉や背骨の負担を緩和できるでしょう。
また、骨折部位の修復まで、痛み止めを内服することで生活しやすくする場合もあります。その間、腰椎の負担を軽減するためにコルセットを使用したり、強度の強い運動やスポーツを控え、安静を取ることも大切です。
◎手術
保存療法で症状が緩和しない場合は背骨の固定手術を行う場合があります。
腰椎が動いたりズレたりしないよう、金具で固定するのが基本的な手術方法です。
手術により神経の圧迫を改善することができるほか、すべり症の発生・進行を抑制できるため、重度の場合には手術も検討しましょう。
■腰椎分離症の予後
腰椎分離症になった場合、治療を適切に実施すればスポーツへも復帰可能です。特に保存療法の場合には、強いスイングやジャンプを必要とするスポーツへも十分に復帰できます。
ただし、治療後に再発する可能性もあるため、スポーツへの復帰時期や強度の設定などは慎重に行なわなければいけません。
医師や担当の理学療法士とよく相談し、再発を防ぎながら部活動・スポーツへ復帰しましょう。
【腰椎分離症の治療は整形外科へ】
腰椎分離症は、スポーツや運動を行う方にとって身近なケガの一種です。
早期に発見した場合や、疲労骨折の程度が軽度であれば、スポーツへの復帰も十分に見込めます。
ただし、治療が遅れたり、専門的な治療が受けられなかったりすると、復帰が難航する場合も。
腰椎分離症の適切な検査・治療を受けるには整形外科への受診が最適です。
運動時の腰痛が見られる場合や、足のしびれ・痛みなどが出現している場合には、なるべく早期に整形外科を受診して検査を受けましょう。