「頚椎椎間板ヘルニア」は、首の骨の間にある「椎間板」が原因となり、手のしびれや首・肩回りの痛みを起こす病気です。
しびれや痛み、握力の低下により日常生活や仕事に支障が出る場合があり、慢性化すると長期間症状に悩まされる場合も。
この記事では、頚椎椎間板ヘルニアの症状や原因、治療法を解説します。
首や肩の凝り、手のしびれなどを感じている方は、この記事を参考にし、必要な時にすぐ受診・治療できるようにしましょう。
目次
■首のヘルニア「頚椎椎間板ヘルニア」とは
頚椎椎間板ヘルニアとは、首の骨の間にある「椎間板」の中身が飛び出し、痛みやしびれなどが生じる整形外科疾患です。
椎間板の中にある「髄核」と呼ばれる物質が飛び出し、背骨の中を通る神経に触れることで、痛みやしびれなどの症状が出現します。
首の骨は1番から7番まであり、そのうち5番目より下の骨の間でヘルニアが起こると、神経に影響が出やすいです。
重症になると手や腕の感覚が鈍くなったり、握力が弱くなり、物を握れなくなったりする場合もあるでしょう。
日常生活に支障が生じることもあるため、診断を受けたら早めに治療を行いましょう。
■首のヘルニアの症状
首のヘルニアでは、以下のような症状がみられます。
- 手や腕のしびれ
- 手先の感覚の低下
- 握力の低下
- 複雑な動作が行なえなくなる
首の神経は手や腕の動きを制御しているため、ヘルニアが起こると手や腕に症状が出現します。
また、重症になると以下のような症状が出現することもあるでしょう。
- 膀胱直腸障害
- 歩行障害
- 日常生活動作の制限
膀胱直腸障害とは尿や便を出すことができなくなる状態です。また、筋肉の調整が効かなくなることで、歩きづらくなってしまうかもしれません。
最終的に箸を持てないほど力が弱くなり、食事を自立して行えなくなる方も。
頚椎椎間板ヘルニアの症状が見られた方は、なるべく早期に受診して重症を防ぐことが大切と言えるでしょう。
■首にヘルニアが起こる原因
首にヘルニアが起こるのは、下を向く作業が多かったり、姿勢が悪いことが原因とされています。
スマホやPCのデスクワークなど、長時間下を向く仕事や趣味により、徐々に椎間板にストレスがかかり、髄核が飛び出してしまいます。
また、明確な理由が無く、加齢により椎間板がもろくなり発症することもあります。
高齢の方やデスクワークなど下を向いていることが多い方は、頚椎椎間板ヘルニアにかかる可能性が高くなることを覚えておきましょう。
■首のヘルニアの治し方
首のヘルニアの治療法には手術を行わない「保存療法」と、手術によって椎間板を摘出する「手術療法」があります。
保存療法の場合、以下のような治療を行うのが一般的です。
- 薬物療法
- 理学療法
- ブロック注射
保存療法で経過を見る場合は、薬物療法により痛みや異常な感覚を抑制し、症状が落ち着くのを待ちます。
その間、理学療法(リハビリテーションによる治療)を実施し、首の周りの筋肉を鍛えたり、緊張を和らげたりして症状を緩和することができます。
どうしても痛みが強い場合には神経に対する「ブロック注射」を実施し、痛みやしびれを麻痺させることもあります。
一方、手術療法では神経に触っているヘルニアを取り出し、症状の緩和を図ります。
ヘルニアを摘出した後、関節の安定性を高めるためにボルト(金具)で固定することもあるでしょう。
手術療法は、保存療法で効果が見られなかった場合や、日常生活に大きな影響が出るほど症状が強い場合に検討されます。
すぐに行わなければ後遺症が残る可能性もあるため、検査結果と日頃の生活の様子から、最適な治療を受けられるよう医師と相談しましょう。
■首のヘルニアがある方がやってはいけないこと
首のヘルニアがある方は、以下のような生活習慣に気を付けましょう。
- 猫背の姿勢をとり続けること
- 長時間のデスクワーク
- 首に衝撃が加わるスポーツ
- 首を強く反らしたり、大きく動かし続ける
猫背で生活すると首の骨の並びが悪くなり、椎間板に大きな負担がかかります。また、長時間のデスクワークで下を向き続けることでも負担がかかってしまい、症状が悪化する可能性もあるため控えなければいけません。
さらに、椎間板が不安定な状態のところへ強い衝撃が加わると、髄核が一気に飛び出てしまう可能性もあります。頚椎椎間板ヘルニアの診断を受けた場合は、転倒するスポーツやボクシングなどのコンタクトスポーツを控え、治療に専念しましょう。
■首のヘルニアのチェックリスト
頚椎椎間板ヘルニアのチェックリストを紹介します。
多く当てはまる方は、頚椎椎間板ヘルニアの可能性があるため、なるべく早めに病院を受診しましょう。
- 手や指先のしびれがある
- 手に力が入りにくい
- 手の動きが思い通りにいかない
- 足がふらつく、歩きづらい
- 強い首の痛みがある
- 強い肩こりが続いている
【首のヘルニアにお悩みの方は整形外科へご相談ください】
首のヘルニアは、放置すると症状が強く出てしまう恐れがあります。
痛みやしびれ、脱力などから日常生活が思うようにいかなくなるだけでなく、歩行障害や膀胱直腸障害などが起こってしまうかもしれません。
首のヘルニアを早期に発見し、重症化を防ぐためには、整形外科医の持つ正しい知識のもと、適切な検査・治療が必要です。
当院では首のヘルニアに対する検査と治療、専門的な技術を持つスタッフによるリハビリテーションを提供しています。
手のしびれや肩の凝り、首の痛みなどを自覚している方は、早めに当院へご相談ください。